〜ドローダウンと期待値〜
皆さん、こんにちは!「金のたまご農園」の農園主です。
連載第7回のテーマは、「資金管理(マネーマネジメント)」です。前回、システム構築の罠について学び、手法やシステムだけでは勝てないことを理解しました。では、何がプロとアマチュアを分けるのでしょうか?
それは、リスクを感情ではなく、数値で捉える規律です。
今回は、資産運用の「成功」と「失敗」を分ける最も重要な概念、ドローダウン(Drawdown)と期待値について深く掘り下げていきましょう。
1. ドローダウン(Drawdown):『農園が枯れる深さ』を知る
ドローダウンとは、資産がピーク時からどれだけ減少したかを示す指標です。これは、あなたの『金のたまご農園』が、市場の嵐によって一時的にどれだけ「枯れて」しまったかを表します。
ドローダウン率 = (資産の最高値 – 現在の資産額)/ 資産の最高値x 100
なぜドローダウンが重要なのか?
- 精神的な耐性の測定:最大ドローダウン(過去最も資産が減少した時の割合)を知ることは、あなたがその戦略の損失に耐えられるかを客観的に判断する基準となります。例えば、ある戦略の最大ドローダウンが50%だとしたら、資産が半分になるまで冷静でいられるか、ということです。
- 回復の難しさ:ドローダウンの数値は、回復がいかに難しいかを教えてくれます。
- 資産が10%減少した場合、回復には11%の上昇が必要。
- 資産が50%減少した場合、回復には100%の上昇が必要です。
プロの投資家は、ドローダウンを極度に嫌います。なぜなら、ドローダウンが大きいほど、回復に多大な時間と労力がかかることを知っているからです。
2. 期待値(Expected Value):『農作業の優位性』を測る
期待値とは、一回の取引で平均してどれくらいの利益が見込めるかを数値で示したものです。これは、あなたの『農作業』が、長期的に見てどれほどの「優位性」を持つかを測る羅針盤となります。
期待値 = (勝率x平均利益) – (敗率x平均損失)
なぜ「勝率」よりも「期待値」が重要なのか?
前回も触れたように、勝率が高くても、一度の大きな損失で全てを失う可能性があります。しかし、期待値がプラス(EV > 0)であれば、試行回数を重ねるほど、理論上は利益が積み上がっていくことになります。
- 農園の例え: 10回種を蒔いて8回失敗しても(勝率20%)、勝った2回の収穫が、失敗した8回の損失を大きく上回るなら、あなたの農園の期待値はプラスであり、継続すべきです。
プロの投資家は、期待値がプラスになる戦略に資金を投じ、その試行回数を重ねることに集中します。
3. 資金管理の統合:ドローダウンを抑え、期待値を追求する
ドローダウンを抑えつつ、期待値を追求するために、資金管理を統合します。
① リスク許容度に基づくポジションサイジング
これが最も重要です。まず、「一回の取引で失っても良い最大の金額」を、総資産の1%〜2%に厳格に設定します。
最大損失額= 総資産x (0.01 or 0.02)
このルールを守ることで、ドローダウンを許容範囲内に抑え込み、致命的な損失を防ぎます。
② 利益の再投資と複利の追求
期待値の追求によって得られた利益は、すべて消費するのではなく、再投資に回すことで、複利の魔力を最大限に活用します。
- 戦略: 利益の一部を安定資産(インデックスファンドなど)に退避させ、残りを再び取引の『種銭』として活用します。
まとめ:数字が示す『規律』が、あなたの資産を守る
資金管理とリスクの数値化は、投資の優劣を決める最終的な要素です。感情を排し、データと統計が示す『規律』に従うこと。
- ドローダウンを許容範囲内に抑える。
- 期待値がプラスの戦略に集中する。
この2つの羅針盤を手に、あなたの『金のたまご農園』を、市場の荒波の中でも確実に成長させていきましょう。
次回予告:
【第8回】アルゴリズムの進化と市場の変化〜AI時代における人間の役割〜
