〜投資における感情との向き合い方〜
金のたまご農園の農園主です。
中級講座もいよいよ佳境です。今回は、投資において最も手ごわい敵、それは「あなた自身の感情」についてお話しします。
どれほど優れた知識や戦略を持っていても、感情の罠に陥ると、計画はあっけなく崩れ去ってしまいます。投資における感情の動きを理解し、賢く対処するための知恵を身につけましょう。
1. 投資における2つの強い感情
人間の感情は、投資において2つの大きな役割を果たします。
- 恐怖: 株価が急落すると、「これ以上損をしたくない」という恐怖心が働き、本来は売るべきでないタイミングで資産を売却してしまいます。
- 欲望(貪欲): 株価が急騰すると、「もっと儲けたい」という欲望が働き、本来は買うべきでない高値で資産を購入してしまいます。
これらの感情に突き動かされた投資行動は、結果的に「安く売って高く買う」という、投資で最もやってはいけないパターンに陥りがちです。
2. 投資の心理学:行動経済学の罠
投資における感情的な行動を科学的に解明したのが「行動経済学」です。ここでは、代表的な2つの心理効果をご紹介します。
① プロスペクト理論
人は、利益を得る喜びよりも、同じ額の損失を被る苦痛をより強く感じます。
- 例: 10万円の利益を得る喜びよりも、10万円の損失を被る苦痛の方が2倍以上大きいと言われています。
このため、投資家は含み損(評価損)を抱えた資産をなかなか売却できず、逆に利益が出ている資産はすぐに売却してしまいがちです。
② 追随行動(ハーディング効果)
多くの人が特定の行動を取ると、自分もそれに従ってしまう心理です。
- 例: 周りの投資家がこぞって特定の株を買い始めると、「乗り遅れてはいけない」という焦りから、自分もその株を買ってしまいます。
これは、市場の過熱(バブル)や急落を加速させる要因になります。
3. 感情の罠を避けるための3つの知恵
これらの感情の罠から身を守り、長期投資を成功させるには、以下の3つの知恵が役立ちます。
① 『ルール』を決める
投資を始める前に、「〇〇円下がったら売却する」「月に〇万円だけ積み立てる」など、具体的なルールを決めておきましょう。機械的に淡々と実行することで、感情の入り込む余地をなくします。
② 『時間』を味方につける
短期的な株価の変動に一喜一憂せず、長期的な視点を持つことが重要です。長期で見れば、多少の暴落も、資産を安く買えるチャンスに変わります。
③ 『分散』で心を守る
ポートフォリオを分散させることで、たとえ特定の資産が暴落しても、全体の損失を抑えることができます。これにより、「全ての卵を失ってしまうかも」という恐怖心を和らげることができます。
本日のまとめ
- 投資における最も手ごわい敵は、恐怖と欲望という自分自身の感情です。
- プロスペクト理論や追随行動といった感情の罠には注意が必要です。
- 『ルール』を決めること、『時間』を味方につけること、『分散』で心を守ることが、賢い投資の鍵となります。
投資の成功は、知識や分析能力だけでなく、感情をコントロールする力にかかっていると言っても過言ではありません。
次回のテーマは、「投資の出口戦略と資産管理」です。いよいよ、収穫した『金のたまご』をどう使うかについて、具体的な方法をお話しします。お楽しみに。
