昼と夜の長さがちょうど等しくなり、世界が静かに秋の深まりへと舵を切る今日、秋分の日。
書き下ろし長編小説『GRAVITY ― 自由への引力 ―』を正式にリリースいたしました。
画面の向こうで明滅する無機質な数字の激流、そこに宿る圧倒的な質量、そして人が手に入れようともがく「自由」の輪郭。これまで心の中に沈潜させてきた思考の断片を、全30章の物語という器に注ぎ込んだ作品です。
あらすじ
三百二十万円だった口座残高は、一週間で八百万円を超え、二週間目には二千五百万円に達した。
そして三週間目の金曜日、ポジションを手仕舞いした瞬間、画面の右下に刻まれていたのは「一億一千四百万円」という数字だった。
かつては一生をかけても届かないと信じ込んでいた壁が、指先の数回の操作で、呆気なく液晶の向こうへと溶けて消える。
だが、それは手に入れたかった「絶対的な自由」の始まりではなかった。
莫大な富がもたらしたのは、自らの思考と時間を底知れぬ深淵へと引きずり下ろす、見えざる巨大な重力(GRAVITY)の檻だった――。
市場の歪みを狩り尽くす謎のコード「.grv」。
天才数学者・佐伯零が遺した足跡を辿る中、男は資本主義という名の巨大な引力圏の中で、自らの生を取り戻すための最後の決断を迫られる。
本作に込めた思想:投資とは、重力であり人生の座標である
人はなぜ、市場に魅了され、富を求めるのか。
その問いの先にあるのは、単なる生活の安定や贅沢ではなく、「何ものにも縛られない自由」への渇望です。
しかし、資本の力は物理法則の重力とよく似ています。
質量が大きくなればなるほど、周囲の空間を歪め、あらゆるものを強く引き寄せて離さない。数字が増えれば増えるほど、人はその数字を守り、増殖させるための計算機へと変貌し、かえって自らの呼吸を浅くしていきます。
「自由になりたくて手に入れた数字が、自分を最も不自由にしていた」
この逆説に直面したとき、人は何を足場にして生きればいいのか。
未曾有のショック(ブラックスワン)が訪れたとき、脆く砕け散るものと、揺るがぬ礎として残るものの違いは何なのか。
本作は、金融サスペンスというスリリングな骨格を借りながら、私たちが生きるこの世界の「見えざる引力の正体」を解き明かす試みでもあります。
公式テーマソング映像とともに
本作の発売に合わせ、世界観を凝縮した公式コンセプトムービーも公開いたしました。
果てしなく広がる黄金の卵の列、中央で脈動する光の果実、そして静かに佇むブラックスワン。
美しい旋律と歌詩が紡ぎ出す重力の響きを、ぜひ小説本編とともにお楽しみください。
投資は重力、人生の座標。
見えぬ力、しかし確かにそこにあり
万物を包む、宇宙の法則――。
書籍情報
- 書名: 『GRAVITY ― 自由への引力 ―』
- 著者: 金子 実
- 体裁: 電子書籍(Kindle) / ペーパーバック(紙書籍)
- 発売日: 2026年9月23日(秋分の日)
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秋の夜長、静かな場所で、淹れたての温かいお茶やコーヒーとともにページをめくっていただければ幸いです。
